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KeMCo「常盤山文庫×慶應義塾 臥遊―時空をかける禅のまなざし」展の楽しみ方①会場巡り 1/2〜まずは一周目 🧘〜


秋学期が始まってそろそろ1ヶ月が経ちますね!肌寒くなって秋めいてきた今日この頃……🍂
KeMCoでは、10月2日から「常盤山文庫×慶應義塾 臥遊―時空をかける禅のまなざし」展、通称「臥遊展」を開催しています。

目まぐるしい日々、疲れが出てきたであろう頃合いに打って付けの臥遊展!今回はKeMCo学生学芸スタッフより、展示内容と楽しみ方の一部をご紹介させていただきます🌈

会場を二周する今回の展示。二周ってどういうこと??というところから始まり、今日はまずは一周目のご案内です😊(次回noteで二周目を回ります💪!)


臥遊ってなに?

そもそも「臥遊」ってなんだろう?と引っかかった方も多いのではないでしょうか。読み方がわからない!なんて声も聞こえてくるような……

展覧会HPを見てみると、こんな説明が⏬

*臥遊(がゆう)=寝そべりながら、山水の絵を眺めて、その世界に遊んだ気持ちになること

https://kemco.keio.ac.jp/all-post/20230707/
(最終閲覧2023/10/31)

そう、かつての中国で、詩や書画に親しんだ官僚たちは、忙しい日々の中に癒しを求めていました。
本当ならば、美しい風景を求めて、日常の喧騒から離れた美しい自然の中に出掛けて行きたい。けれど忙しい毎日では叶わぬ願い……

そんなとき彼らは、部屋の中でお気に入りの山水の絵を眺めて「臥遊」し、その世界へ入り込んだような気分になることで、心を休め、楽しんでいたのです⛰

なんだか現代人の抱える悩みと同じような気がしてきましたね!
忙しい日々から脱出する突破口が見つかるかも……早速「臥遊展」に行ってみましょう!🏃💨

展覧会の巡りかた

会場に着くと、「巡りかたガイド」を発見!

「展覧会の巡りかた」解説パネル

この展覧会ではちょっと珍しい「展覧会の巡りかた」をオススメしています。それは、会場を二周すること。

まずはいろんな情報は気にせず自由に作品を眺めて一周。
次に、監視員さんから解説冊子を受け取って解説を読みながら二周目を巡ります。本noteでもこの「巡りかた」に則ってご案内していきたいと思います🍀

一周目は自由に🧎‍♂️

さあ、まずは自由に一周していきましょう。
でもなかなか「自由」って難しい……?ということで、筆者が自由に見てみた際の頭の中を再現してみます👀

エレベーターを降りたら右手の展示室、Room2からスタートです🌟

①Room2:座して見る仙人たち(……見られてる??)

Room2に入ると印象的なのが、三方を仙人たちに囲まれる展示空間👀

どん!!!という効果音がよく似合うような。

なにやら厳しいお坊さんたちがこちらを見ています。
一瞬なんとなく圧を感じないこともないですが、負けじとじーっと見つめ返してみましょう。

ところで⏫こちらの写真、なんだか美術館では見慣れていない物体が写り混んでいますね。
三つの黒い丸。なんだかかわいいその正体は……座布団です!

ちょっと小さめで分厚い座禅用座布団

禅僧の気持ちに思いを馳せ、リラックスした気分で鑑賞していただきたい、ということで、今回展示室には腰掛けていただける仕掛けをご用意しています。Room2ではこちら⏫の座布団。

座ってみると、ぐっと視点が変わるんです。

↑立って見ているときはこんな感じ
↑座布団に座ってみると、こんな感じ

かなり景色が変わったこと、写真でお伝えできておりますでしょうか……??🤨
仙人の眉間のお皺がグッと深く見えたりして、人間味が増して見えるような。

特にギロリ度の高いお坊さんを発見

こちら右手のお坊さんの両目はギロっとこちらを捉えたところの模様……。このお坊さんも、座布団に腰掛けるとなんだかちょっぴり愉快なお人柄が見え隠れしているような気がしてきます。ぜひ会場で、真正面からだけでなく上下右左から、座布団から、眺めてみてください。

ころっとかわいいRoom2の座布団は、今のところなかなか座ってみてくださる方がいないようなのですが、ぜひぜひトライしてみていただきたいと思います💪🏻✨

②Room1:かわいい動物・憧れの世界

Room2を出たら、まっすぐ進んでRoom1へ。

Room1の入り口はこちら💁‍♀️

入ってみると、こちらにも早速腰掛けがあります。Room1には「座して見る」ことができるスポットが2つ用意されているんです!もう1つがどこにあるのかは、ぜひ会場でチェックしてみてくださいね✅

一つ目の腰掛けスポット🪑

Room1をお出迎えしてくれるのはかわいい動物たちです。

筆者一押しのお猿🐒(右)

隅々まで目を凝らして見ると、それぞれの表情が見えてきます。
見れば見るほどにかわいい……

筆者の一押しは右手の作品、出品番号39《猿猴図》です。こちらのお猿さんも立って見るのと少ししゃがんで見上げてみるのとを繰り返して見ると、かわいさが深まってくるように感じます。

かわいさの源はなんでしょう?じっくり観察してみましょう。

《猿猴図》全体はこんなかんじ。

画面全体を見ると、このお猿は画面の左辺に沿って立つ木の枝に伏すようにしてもたれ、組んだ腕に頭を載せて、画面右下へ向かって何かを眺めています。
お猿の上下にはお猿の体よりひとまわり小さいくらいの葉っぱたち。真っ直ぐ上に伸びる葉には色こそ塗られていませんが、きっと瑞瑞しく生き生きとしているに違いありません🌱

もっと近づいてみると……

ガラスケースに頭をぶつけないように気をつけて、さらに近くで見てみましょう⛑
う〜んこのなんとも言えぬゆるさで描かれたお顔、憎めませんね。眉・目・鼻・口がなんと7画という脅威のシンプルさで描き表されています。

そのお顔を縁取る、ふわふわとしたお猿の毛!木の幹や葉にはじまり、お顔の表情に至るまでさらりと線を引くようにして数回の筆運びで描かれているのとは対比的に、毛の一本一本が細かく、輪郭線が現れることなくふんわりと描かれていることが見えてきます。

きっと、こうして毛だけが柔らかく細やかに表されるからこそ、ふわふわ度合いが引き立って、見れば見るほどにかわいく感じられてくるのではないかな……なんて考えながら、しばらくお猿の前に佇んでいました😌

ちなみに。おなじようにふわふわの毛を持つお方がRoom2にいらっしゃいます。誰でしょう?
こちら⏬出品番号7《拾得図》

おでこの輪郭はありますが、髪型には輪郭がなく、毛がふわふわと描かれていますね


お猿だけではありません。Room1には、山々の広がる景色を描いた作品が展示されています。じっくりと見ているうちに、行ったこともないようなその景色の中に没入していく感覚__そう、それが「臥遊」です。

「臥遊」の境地にたどり着くための導線として、一周目にはぜひ、ここでご紹介したように墨と筆の運びの豊かさにも目を向けてみていただくと、発見が広がるのではないかと思います🖌
皆さんはどんなふうに感じられるでしょう。ぜひお伺いしたいものです👂

次回のnoteは??

一週目を終えたら、解説冊子をもらって二周目にすすみましょう😉💕
次回noteでは解説を読みながら作品を鑑賞するとどんな風に変わるのか??ご案内したいと思います!💁🏻‍♀️お楽しみに!🥳

次回noteまでにご自身で二周目をされるのも大歓迎!東門を出て右手すぐ、KeMCoへふらっと「臥遊」しに来てくださることをお待ちしております💫


「常盤山文庫×慶應義塾 臥遊―時空をかける禅のまなざし」

【会期】2023年10月2日(月)〜12月1日(金)
11:00–18:00 土日祝休館
特別開館|10月14日(土)、11月25日(土)
臨時休館|10月16日(月)、11月20日(月)
※期間中に展示箇所の入れ替えをする作品がございます。
前期10月2日(月)~11月1日(水)、後期11月2日(木)~12月1日(金)

【会場】慶應義塾ミュージアム・コモンズ(三田キャンパス東別館)
どなたでもご覧いただけます(事前予約不要)

開催間近!⏩【シンポジウム】
2023年11月14日(火)18:00–20:30 *開場17:30
@慶應義塾大学三田キャンパス G-lab(東館6階)
どなたでもご参加いただけます(先着80名(定員になり次第締切)/事前予約制)


文責:KeMiCo Honoka


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