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構築される遺跡ってなに vol.1

はじめに

現在慶應ミュージアム・コモンズ(KeMCo)にて開催中の「構築される『遺跡』:KeMCo建設で発掘したもの・しなかったもの」展について、企画に携わった、民族学考古学研究室に所属するKeMiCo:Noekaから一体どんな展示なのかを紹介していきたいと思います💁🏻‍♀️

第1回目のテーマは「展示室に入ってみよう!」です✨
今回の展示はいったい何を伝えたくて企画したのか、そして展示室に少し入ってみたところまでをご紹介します🏃🏻‍♀️

遺跡ってなに

「『遺跡』とは何か。」から始まる今回の展示解説文ですが…

展示室入り口壁

展覧会などでよく最初に置いてある、展示主旨の説明文って、みなさんは読みますか?
私はどんなコンセプトなのか最初に頭に入れないと、その後の展示資料が入ってこないので必ず読みますが、読まない方や熟読まではしないなーという方もいらっしゃると思います👀

本展示の説明文は「『遺跡』とは何か。」から始まります。全文はぜひ来て読んでいただきたいのですが…

一般的に遺跡とは、過去の人々の活動の痕跡が残る場所のことを言います。「人々」だけです💡
また、そもそも発掘調査の対象となる時代はほとんどが中世まで、近世はたまにという感じで、近現代は調査対象に入らないことも多々あります。
でも土を掘れば、動物の活動の痕跡や、また最近のものだって出てくるはずですよね。
地域ごとに異なりますが、発掘調査はいろいろな慣例のもとに行われ、遺跡はその都度選ばれたもののみで構成されているということになります🤔

今回の展示では、その選択に着目し、発掘調査で選ばれるもの・選ばれないものは何か、遺跡とはどのように構築されていくのか、を考えていくことを目指しました!

Room2 たなまち

私は考古学を勉強している立場ですが、展示に関わるまでは発掘されたものを知るということしか考えていなくて、そこからポロポロとこぼれ落ちているものがあるということは意識できていませんでした。この展示を作り上げていくうちに段々と実感していき、今も考えている最中です💭

みなさんもぜひ一緒に考えてくださるとうれしいです🙋🏻‍♀️

Room1ってなに

Room1は発掘されたものたち

Room1展示室内

Room1ではKeMCo建設に伴って行われた発掘調査で出土し、選択された遺物が時代順に展示されています!

まさに展示されているその真下で発掘されたものを、その場で見ることができるという、他ではあまりない展示になっています✨

本遺跡は弥生、そして一部縄文時代まで(😳!)遡ることが今回の発掘調査でわかりました。この土地で本当に長い間人が活動してきたことが感じられ、結構感動しました🤯 同じ場所で同じものを見てるっていいなー💭

みんなのサイン

本展示を既にみてくださった方はお気づきになったかもしれませんが、本展示の解説文にはサインが載っています📝
これは主語を明らかにしようという試みで、誰がこの文章を述べているのか一目でわかるようになっています!

みんなのサイン

一人一人の個性が表れてますよね💭
誰が書いたかわかる解説文って意外と珍しいのです・・・!

考古学者の机を再現!(?)

Room1 入り口すぐ

それでは、Room1に入ってみましょう!

入るとまず目に入るのは散らばった道具類です✏️📐
配置は私が担当したのですが、発掘調査に関わった人の机はこんな感じかなーと思って並べました💭

今回の発掘調査で実際に書かれた図面、また発掘された遺物の実測図、そしてそれらの作業で使用される道具を展示しています。

少しみてみると…

農林水産省農林水産技術会議事務局監修 「新版 標準土色帖」富士平工業

これは土色帖というもので、土の色を定量的に示す際に使用されるものです📏

同じ「茶色」と言っても、人によって想像する色は違いますよね!
しかし「この土色帖のこの色」と指定すればみんなが同じ色を共有することができることになります。

土器の色を見る時にも使われます👀

私も欲しいのですが、結構高くてまだ買えていません😗

続いては…

左からメジャー、三角スケール(小)、コンベックス

これらは長さを測る時に使われるものです📐

中央の、三角スケールを買うとおまけでついてくる小さな三角スケールは、自立するので遺物の高さを測るのに便利なんです✨
ちゃんと断面が0mmになっています🤝

最後に…

発掘調査中に書かれた平面図

これは発掘調査の最中に記録される平面図です✏️
外で掘っている最中に描かれるので土で汚れています💡

発掘調査の現場は土を掘る場所だというのは当たり前かもしれませんが、こういう痕跡を見るとより現場のイメージが湧いてきますよね!

おわりに

今回はここまでになります💁🏻‍♀️
次回からは展示室内を紹介していきます!

展示は現在開催中ですので、ぜひお越しください!

文責:KeMiCo Noeka


「構築される『遺跡』:KeMCo建設で発掘したもの・しなかったもの」
会期|2023年3月6日(月)~4月27日(木)(土日祝休館)
     11:00–18:00 開館
※特別開館 | 3月18日(土)、4月22日(土)
※臨時休館 | 3月13日(月)、4月17日(月)
会場|慶應義塾ミュージアム・コモンズ展示室 (三田キャンパス東別館)
対象|どなたでもご覧いただけます
   ※団体(10名以上)でのご来館の際は事前にご連絡ください
費用|無料
トークイベント|
 考古学と現代美術をめぐるミニトーク
 安藤広道(慶應義塾大学文学部教授)× 山田健二(美術家)      
 日時:2023年4月14日(金)19:00–20:30
 会場:慶應義塾大学 三田キャンパス G-Lab(東館6階)
 どなたでもご参加いただけます(入場無料、事前予約制)
 お問い合わせ|慶應義塾ミュージアム・コモンズ
詳細|https://kemco.keio.ac.jp/all-post/20230306/

みんなにも読んでほしいですか?

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