構築される遺跡ってなに vol.3
はじめに
現在、慶應義塾ミュージアム・コモンズ(KeMCo)にて開催中の「構築される『遺跡』:KeMCo建設で発掘したもの・しなかったもの」展について、企画に携わった、民族学考古学研究室に所属するKeMiCo:Noekaから一体どんな展示なのかを紹介していきたいと思います💁🏻♀️
第3回目のテーマは「Room1を見てみよう〜後編〜」です✨
前回セクション3までご紹介したRoom1を引き続き見ていきます🏃🏻♀️
Room1ってなに
Room1ではKeMCo建設に伴って行われた発掘調査で出土し、選択された遺物が時代順に展示されています!
今回は弥生時代・古墳時代に続き、古代、中世、近世の展示を見ていきましょう👀
古代〜中世 人とものが行き交うってなに
ここで注目したい資料は…文字に関わるものたちです✨
右から円面硯(えんめんけん)と転用硯になります✨
円面硯は、実際は円形を成していて、その円形の面が硯になっていたと考えられています。触ってみるとツルツルしています。転用硯は、元は他の用途で使われていたお皿などが硯に転用されたもので、こちらもツルツルしています☺️
これらが出てきたことで、ここは文字を用いる場であったことが想定できるようになりました🧐
これが出土した時はかなり盛り上がったらしいです!😆
近世 垣間見える町屋の暮らしってなに
続いてRoom1のほぼ半分を占めるのがこの江戸時代セクション!
本遺跡は江戸時代を通して町人地であったと考えられますが…町人地らしからぬものも多く出てきました😳!なんでだ
墨書付きのものを含む灯明皿(かわらけ)がまとまって出土していたり、南蛮貿易で輸入後伝世したとみられる明代の華南三彩壺が出土していたり….
大人数で食事をする際に用いられたとみられる笠原鉢や中国産の大皿、そして高価な柿右衛門窯のお皿が出土していたり…
いけばなや茶の湯に関連する道具類が出土していたり…
これらの多くが町人地では出土せず、武家屋敷で出土するものだそう👀
つまりここは近隣の武家屋敷となんらかの関係性があった場所だと考えられます💡
そのヒントとしてこれらの資料の多くが採土坑と呼ばれる、売ったり何かに利用するための土を掘った後にできる穴から出土していることが挙げられます🧐 展示担当者によると、この穴を埋めるために近隣の武家屋敷からゴミを預かった…という推測もできるそうです!
そして下駄などの木製品や銭貨などの金属製品、またこの時期はまだ町人地では珍しかった漆椀は、この地のような低地のじめじめした水分の多い土ならではの出土遺物になります💁🏻♀️
漆器などは土から出て空気に触れた瞬間から色が変わっていってしまうそう🥲 いつか出土した瞬間の鮮やかな漆器を見てみたいです👀💭
そして武家屋敷に関連する出土物からガラッと変わってここからは「うちた屋」のコーナー🍶
本遺跡からは「うちた」の銘が入った通い徳利や類似した形を持つ食器類が多数出土しました🤯
展示担当者は本遺跡の位置する三田二丁目に「うちた屋」という酒屋があったことからここも「うちた屋」であったと推測しています🧐
これらを使ってお酒を飲んでいた…💭と想像するとなんだか一気に当時の人々の様子が目に浮かぶようです💡
おわりに
Room1はここで終わりです💁🏻♀️次回はRoom2💨
「構築される『遺跡』:KeMCo建設で発掘したもの・しなかったもの」展は現在慶應義塾ミュージアム・コモンズ展示室 (三田キャンパス東別館)で開催中ですので、ぜひご来場ください✨
文責:KeMiCo Noeka
構築される「遺跡」:KeMCo建設で発掘したもの・しなかったもの
会期|2023年3月6日(月)~4月27日(木)(土日祝休館)
11:00–18:00 開館
※特別開館 | 3月18日(土)、4月22日(土)
※臨時休館 | 3月13日(月)、4月17日(月)
会場|慶應義塾ミュージアム・コモンズ展示室 (三田キャンパス東別館)
対象|どなたでもご覧いただけます
※団体(10名以上)でのご来館の際は事前にご連絡ください
費用|無料
詳細|https://kemco.keio.ac.jp/all-post/20230306/