roomxみどころ③ 民族学考古学専攻より「日本最古の縄文埋葬犬」
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roomxみどころ③ 民族学考古学専攻より「日本最古の縄文埋葬犬」

Keio Exhibition RoomX: 人間交際」より、今回のみどころは「日本最古の縄文埋葬犬」となります。 慶應義塾大学文学部民族学考古学研究室が発見・所蔵している日本最古の犬骨二体は、どちらも(放射性炭素年代をはじめとする要素の)解析・分析の結果、日本最古、縄文時代早期末の犬骨と考えられています。以下より、関連資料と併せてお楽しみください。


「日本最古の縄文埋葬犬」とは?

愛媛県久万高原町に所在する国指定史跡、上黒岩岩陰から出土した二体分の埋葬犬骨。縄文時代早期末に相当する放射性炭素年代(ca. 7,400~7,200 cal BP)が得られ、国内最古の埋葬犬資料として知られる。頭蓋骨の形状などには祖先種オオカミを彷彿とさせる特徴も認められる同犬骨は、推定体高40cmほどの小型犬ながら、筋骨逞しい犬に由来する。また、いずれの個体も、上・下顎骨の前臼歯に複数本の生前喪失歯も確認されたことから、猟犬としてイノシシなどの捕獲に駆使されていた可能性が高い。同犬骨については既に古代DNA解析や炭素・窒素安定同位体分析も試みられ、それぞれ興味深い成果が得られている。列島最古の犬骨として知られる神奈川県横須賀市夏島貝塚出土資料も含め、縄文時代早期に帰属する犬骨のほとんどが散乱骨である中、全身骨格の特徴を把握でき、かつ領域横断的な研究も試みられた本埋葬犬骨は極めて高い学術価値をもつ。(佐藤孝雄)


みどころ

縄文時代のイヌ(縄文犬)には切歯や犬歯、前臼歯の一部を生前に喪失する個体が少なからずいたようです。今回紹介する国内最古の埋葬犬骨群にも生前に前臼歯を失ったことによって生じた歯槽の閉塞を観察することができます。こうした痕跡は、縄文犬が猟犬として利用され、イノシシなどの獲物との格闘・捕獲にも当たらされていたことを示唆してくれます。VR画像や上・下顎骨の咬合面観の写真では是非この点にもご着目ください。

1号犬:頭蓋最大長13.9cm 

2号犬:頭蓋最大長16.0cm


さらに詳しく知りたい方は

以下サイト「日本最古の縄文埋葬犬」をご覧ください。

また、民族学考古学専攻が出品している他作品もご覧になりたい方は、展覧会の民族学考古学セクション「今ここに響き合うさまざまなカタチ―Things resonating together here now」へ、ぜひお越しください。

日吉キャンパス建設に伴う弥生時代集落や周辺古墳の発掘、日中戦争を機に実施された中国各地の調査に由来する考古資料の一大コレクションがかつて義塾にあった。大半は空襲で焼失したが、戦後間もないころから日本はもちろん世界の各地で学術調査が始まり、大学キャンパス内からの発掘資料や多くの寄贈資料が加わったことで、今では国宝・重文3件を含む約20万点を数えるに至っている。
民族資料は2千点余りで、多くはドイツ、オランダ、イギリスの植民地だったニューギニア本島やビスマルク群島に由来する。ラバウル近郊で貿易商会を営んだ小嶺磯吉氏や、ミクロネシアで製糖業を展開した松江春次氏が20世紀前半に収集したものである。
これらのモノたちが「今ここ」にあることを理解するには、製作や使用の文化的コンテキストはもちろん、植民地的状況や帝国主義のなかで生じた交渉と収集の現場を丹念に読み解き、多くのミュージアムで展開されてきた所蔵と展示の歴史を紐解かねばならない。そして漸くその先に、多様な来歴の考古・民族資料が「今ここ」で出会い、KeMCoのなかに並び立つことで新たな価値が生まれようとしている。(安藤 広道・山口 徹)


慶應義塾ミュージアム・コモンズ(KeMCo)は、2021年4月にオープンした慶應義塾の大学美術館です。このnoteでは、KeMCoの所員やスタッフがミュージアムやアートに関わる話題を幅広く展開します。「我に触れよ(Tangite me):コロナ時代に修復を考える」展10/18〜