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中国山西省の旅②喋ってみた!編〜按摩、迷子、エトセトラ〜

中国山西省の旅第2弾です。夏休みに先生方、先輩方とともに仏教美術を巡る旅に出てきました。

雲崗石窟にて

中国ご出身の偉大なる先輩の引率により、先生方と私の日本勢4名は、いい子にしてれば一つも中国語を喋れなくてもスムーズに旅ができたのですが、自分の行動に落ち着きがなかったのと(反省)、使ってみたかったので、何度かトライするチャンスがありました。今回はそんな中国語会話チャレンジ談をお届けします。


前提:喋ってみたい!

そもそも、中国に行くのは2回目。前回は高2くらいで、父の単身赴任先に一週間くらい遊びに行きました。そのとき母が現地の同僚の方とドラマの話で盛り上がれていたのが羨ましくて、中国ドラマを見始めたのが中国語との出会いです。
それでいて第2外国語はドイツ語にしたのですが、コロナ禍などはずっと中国ドラマを見ていて、半年か一年か初級中国語の授業を履修したりもしていて、なんとなく会話を聞き流して、正確には聞き取れないけれど何について話しているかくらいは分かる、でも会話したことはない…というレベル。ちゃんと勉強したことはないけれど、少しは喋れたらいいなあ、なんて思っていたのです。

マッサージで叫ぶ💆🏻‍♀️

忻州の夜景。手前の一画が我々の宿泊先でした。

中秋節の夜。この日は五台山のふもとの町=忻州で一泊しました。古き良き街並みを残した古城の景観と中秋節のお祭り模様は本当によく合っていて、食べ歩きや買い物、そして月を見に沢山の人でにぎわっていました。
この日も朝から博物館と古寺を訪ね、よく食べ、よくよく歩きました。夕食後、ちょっと休憩をば、とみんなでまったりお茶タイムをしていたところ、広場の席を転々と回っていく按摩師チームが我々のところにも到来。20分800円!お安い!ということで、お願いしてみることにしました。

中国のお茶文化って本当に豊か。一回量の茶葉で何度もお湯を継ぎ足してゆったりとたくさん飲まれます。そして皆さん持ち歩いてもいらっしゃる。茶をしばく集いが結構ゆるゆると長く続くのでちょっとびっくりしましたが、とても疲れが取れました。

しかしこれがもう上半身の皮膚という皮膚、関節という関節をバシバシ刺激する!なんなら按摩師さんの力尽くの刺激は肩どころか頭の毛をバシバシと引っ張る!おでこのしわというしわを伸ばす!!!腕を持ったと思ったらブンブン回す!!千切れるんじゃないかと思いました🍖

くすぐったさと痛さとで悶えながら、目の前で同じように悶えておられる先生の姿と、異国の地で屋外激つよマッサージを、それも先生方と受けているというシチュエーションに申し訳なくも笑いが止まらなくなりながら、時に痛みに叫びながらの20分。力加減はどう?と聞いてくださったので、そう、その場所が「好的!」(良い!)その力具合が「舒服!」(気持ちいい!)とお伝えしました。
顔を覚えていてくださって、帰り際にもまた来てね~ありがとう〜というような会話ができたことを含め、よくあるシチュエーション会話ながら、ちょっと喋れたことに感動を覚えたワンシーンでした。

日本人に施術することを喜んでくださったようで、写真撮ろーと言われたので、私も一緒に自撮りさせてもらいました(写真右)左肩を見てください、写真を撮ろうともゴリゴリ押す手は止まりません。

ちなみにこのマッサージ、効果は絶大で、頭の血が一気に巡ってスッキリ!目の疲れまで取れました。先生方の表情もどことなく若返ったようなご様子。台風一過で手に入れた爽快感という感じでした。

「あっちが北だよ」

さて、こちらはそんな中秋節の翌朝6時半頃の朝焼けです。
この朝、チームの集合時間より2時間早く起きて1人で朝日を見に行きました。全然人がいないのでラジオ体操をしてみたり、一番高いとこまで登って、なんでいい日だ!いい朝活だ!と思っていた頃の写真がこちらです。

しかし。
このあと道に迷って宿泊先に帰れなくなりました。

中国版の地図アプリもダウンロードしていたので大丈夫〜などと思っていたら、ホテル名を検索して辿り着いた場所が全然知らない区画だったのです。方向音痴な私は普段の移動はすべてGPSに託しているので、マップに従った結果違う場所、となると、詰んでしまう。まずい!でもどうしようもないので、とりあえず近くを通りゆく方に伺うことに。でもいかんせん朝方なので昨晩と打って変わって全然人通りがありません。

やっと話しかけて、「このホテルに行きたいのだけど見つからない!知っていますか?ここってどこですか??」と聞いてみるも、「申し訳ないけど知らないなあ。」とのお返事。「わかんないけど…うーん…」と悩んでひねり出してくれた回答が、「とにかくあっちが北だよ」。

…かつて北極星から海路を導き出していたという、旅の原点に思いを馳せた瞬間でした。うーーーーーーんただでさえ方向音痴ゆえに迷子になった私。「ああ、ならあっちが東ね!ありがとう!」なんて言ってはみたものの、東西南北を手がかりにホテルを見つけるのは無理………😵

集合時間も迫り、今度こそ!と2人目は警察の方に声をかけます。
すると、「いやいや目の前だよ??何言ってるの?もういい?行くね?」との回答。「いや、違うんだって」と食い下がるも、うまく言えず、やや不審者を見る目を向けられて断念。

「今これが見えています…」と先輩に送った写真…🙂‍↕️

結局、旅を率いる中国出身の先輩に近くに見えるものの写真を送り、回収しにきてもらってしまいました。(ホテルから徒歩5分のところで迷子になっていた。近かった…)どうやら、同じ名前のホテルがいくつかあったようで、「目の前にあるけど??」というのはそういうことだったのです。気づかず別店舗を目的地に設定してしまっていたのでした。猛省です。

外国語テキストの道に迷うシチュエーションってほんとに起こるんですね。それでも地元の方とどうにか会話が成立した喜びと、自己解決できなかった悔しさと申し訳なさでいっぱいになりました。

古民家リノベーションの宿泊地でとっても素敵でした!
ホテルの前に一本細い道がね、あったのでね、そこがなかなかね、辿り着けなくてね、うーん、いや、途中の道でもなんか違う景色に向かってるなあとは思ったんですけど、ね、、、、それにしても、齢二十四にもなってこんなにも絵に描いたような迷子になるとは情けないです、、、、、

「この部屋ないじゃん」

中国滞在も一週間が過ぎ、お手洗いの場所を聞くのもお手のもの!お値段も聞ける!トラブル解決できる気がしてきた!もっと喋ってみたい!と思っていた頃。

朝食券

ホテルにチェックインし、ルームキーに書いてある「424」の部屋にチェックインしようとした…のですが、そのフロアにあった部屋番号は、421、422、423、ふたつ飛ばして426…と、424なんてお部屋がない!!

私がボケてるのかしら?を目をこすって二週目をするも、ない。飛び地になってるとかでも、ない。
清掃係の女性がいたので「この部屋どこですか?」と聞いてみることに。
このあたりで、自分の中国語力のせいで会話が成立しなくなったタイミングで「不好意思,我的汉语不好。我是日本人。」(すみません、中国語よくしゃべれないのです、日本人でして…)と申し上げることで相手のご厚意でどうにかしていただける、というルートに辿り着きました。もう発音なんて気にせず、ネイティブにすべてを委ねる作戦です。

このとき話しかけた方もとてもとても親切で、その場に私を残してわざわざフロントまで行って事情説明して全て解決して戻ってきてくださり、感謝感激。問題は単純で、部屋番号の書き間違いでした。とっても綺麗なお部屋で快眠でした。

おわりに

数日前、旅行中の日記を振り返っていたところ、「めいてぃんりー」というメモを発見。まだ中国語に慣れていなかった3日目の朝、ホテルですれ違った方が私のブラウスに花柄の刺繍が入っているのを見て何か話しかけてくださったのですが、理解できずにおり、「中国語わかる?」と言われたので「我不能説…」(喋れません…)などと絞り出して返答したら、その方が何かを否定しながら言ってきた言葉でした。
能天気な私はなんか褒めてくれたんだなあ、どんな褒めかは後で調べるか~☀なんて思ってメモしていたのですが、今思えばこれ、「めい」=「没」=ない、「てぃんりー」=「听力」=リスニング力…つまり、聞き取り力がないわねって言われていたみたいなのです。ごもっともすぎて後から辛くなったメモでした。服を褒められてると思っていたけど、そんなことより外寒いよ?その恰好でいけるの??無理じゃない???とかそういう話だったのかも。中途半端な語学力を想像で補った調子乗りのツケを悔しくも痛感しました。

そのほか、予約したフライトが突如キャンセルになったり、お部屋のバスルームの引き戸の建てつけが悪めなのに強く閉めてしまって自力で出られなくなる(戸を叩いて🚪開けてって叫ぶこととか現実世界でも起きうるんですね…)などのプチトラブルもありつつ、現地の方々の手助けに支えられ、あたたかみを感じる結果となりました。

余談のような記事を続けてしまいましたが、次回あたりで今回の旅の主要目的地、五台山の報告をできたらと思います⛰


【開催中!】展覧会「Land-scape-お持ち帰りできる風景」

会期|2024年10月7日(月)~12月6日(金)
   11:00–18:00【土日祝休館】
特別開館|10 月19 日(土)、11 月23 日(土・祝)
臨時休館|10 月21 日(月)、11 月25 日(月)
入場|無料、事前予約不要
主催|慶應義塾ミュージアム・コモンズ
協力|慶應義塾大学アート・センター、慶應義塾大学三田メディアセンター

写本や稀覯本(きこうぼん)、版画や写真、絵葉書や旅の道具などの紹介を通じて、みなさんを「お持ち帰りできる風景」を巡るにご招待します。お楽しみに!

文責: KeMiCo Honoka


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