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浮世絵のどこ見てる?👀

現在慶應義塾ミュージアム・コモンズ(KeMCo)では、北斎と国芳の貴重な浮世絵に加えて、初出しの下絵を展示する展覧会「『さすが!北斎、やるな!!国芳』ー浮世絵のマテリアリティ」を開催しています✨

今回はその展示に合わせてKeMCoのスタッフに、浮世絵を鑑賞するとき、どこを見ているのか、何が気になるのかをインタビューしてきました!


浮世絵の状態を見る👀

学芸員のM先生は、まず発色や線を見て、作品の状態が良いかどうかを確認するそう!そしてその後に描かれている内容を見ていくのだそうです✨
以前は、浮世絵の線について、国芳は国芳の線、北斎は北斎の線、と絵師と結びつけて捉えていたそうですが、展覧会の開催にあたって近くでじっくりと観察するようになってから、その線を実際に彫った彫師の存在を強く感じるようになったそうです💭

浮世絵のレイヤードな表現を見る👀

歌川国芳 「木曾街道六十九次之内 妻籠」

学芸員のH先生は浮世絵の色の重なりが気になるそう!特に前期に展示されていた歌川国芳の「木曾街道六十九次之内 妻籠」など、透けている絵の表現がお気に入りだそうです🦊🤍
一方でM先生同様に、浮世絵から彫師の存在も想像するようで、このような透けている表現など、彫師からするとやめてほしい…と思ってしまうような、彫るのが難しい下絵もあるのでは…?とおっしゃっていました🥹💦

風景画の中に描かれる人物を見る👀

学芸員のH先生は人物画ではなく、「風景画に描かれている」人物が気になるそう!描かれている場所での人の動きが見て取れることができる、あくまでも風景画を構成する一要素として描かれている人物に魅力を感じるのだそうです☺️
また紙そのものにも着目し、空摺と呼ばれる、浮世絵に施されているエンボスのような加工もお気に入りだそう!
展示室内では確認しにくいですが、空摺の加工など技法にまつわる知識はエレベーターホールの動画で詳しく解説していますのでそちらもぜひ確認してみてください👀

美人画の化粧を見る👀

民族学考古学専攻の大学院生Iさんにもお話を伺いました💁🏻‍♀️
江戸時代の化粧道具の研究をされているIさんが気になるのはやはり美人画に描かれる女性が施しているお化粧だそう💄
特徴的なのがまつ毛のお化粧だそうで、上まつ毛も下まつ毛も目に向かって内側に伸びているように表現されることが多いとのこと💭Iさんは、江戸時代の女性はあまりまつ毛のお化粧はしなかったのかな…と推測されていました🧐

浮世絵の色合いと重なりを見る👀

スタッフのSさんは先述のH先生同様浮世絵の色合いが気になるそうなのですが…特にその重ね方に着目されているとのこと💡
浮世絵は一度で一気に摺るのではなく、色ごとに分けて摺っていたと考えられるので、どの色から摺るか、そもそもの色分けをどうしていたのか、その構成が気になるとおっしゃっていました!

浮世絵の中に描かれる建造物を見る👀

葛飾北斎 「冨嶽三十六景 五百らかん寺さゞゐ堂」

スタッフのMさんは風景画などによく描かれる建造物の表現が気になるそう!
特に上に示した葛飾北斎の「冨嶽三十六景 五百らかん寺さゞゐ堂」にもあるようなお寺の柱の組物や、格子窓、垂木などに着目されるそうで、今はもう残っていない建築の姿を想像することができるのが魅力だとおっしゃっていました🫧


インタビュー内容はここまでです😴

今回みなさんにお話を伺ってみて、絵師だけでなく彫師や摺師を意識しながら鑑賞するという目線を得ることができました💡
浮世絵を一枚作るのにどれほどの人の労力と時間がかかっているのか、想像すると果てしないです…😣

今回の展示は、下絵と浮世絵を両方見られるということから、その間の工程に思いを馳せやすい展示となっています!
皆様もぜひ、この記事を思い出しながらKeMCoで浮世絵をじっくりと鑑賞して、そのマテリアリティを感じてみていただければ幸いです💭

文責:KeMiCo Noeka

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展覧会「さすが!北斎、やるな!!国芳」-浮世絵のマテリアリティ」
日付:前期 2023年5月15日(月)~6月13日(火    
   後期 2023年6月15日(木)~7月15日(土)
   11:00–18:00
   特別開館|7月15日(土)
場所:慶應義塾ミュージアム・コモンズ(三田キャンパス東別館)
対象:どなたでもご覧いただけます
費用:無料
お問い合わせ:慶應義塾ミュージアム・コモンズ
https://kemco.keio.ac.jp/all-post/20230515/