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ポストコロナ社会のミュージアムはどうなるのか(について、思いを巡らす)

こんにちは、慶應義塾ミュージアム・コモンズの宮北剛己です。

前回、本間先生による初投稿では、KeMCo(ケムコ)の概要やこれまでの活動についてご紹介しました。「交流を生み出す」にはどうすればいいのか…KeMCoメンバーは目下、試行錯誤の日々を送っておりますが、今回はタイトルの通り、ポストコロナ社会のミュージアムの在り方について、思いを巡らせてみたいと思います。

あれこれと思いを巡らせている段階なので、とりとめのない文章となりますこと、予めご承知おきください。また、本文は決して論考ではなく、昨今、国内外で話題の事例等
を紹介していく、かなりライトな記事になります。

「こんな取り組みや考え方があるんだなー」と、気軽にお読みいただければ幸いです。

ミュージアムの新しいカタチ

新型コロナウィルスの流行により、日本のみならず、世界各国の博物館・美術館が閉館を余儀なくされている今、多くの施設はデジタル(展開)に活路を見出しています。

この記事を読まれている方は、既に幾つかご存知かもしれませんが、国内の事例は「ギャラリートークからパフォーマンスまで。YouTubeで楽しむ美術館・博物館のオンラインコンテンツまとめ(ウェブ版美術手帖)」で、国外の事例は「Now Virtual and in Video, Museum Websites Shake Off the Dust(The New York Times)」等で、様々紹介されています。

また、SNS上では、ハッシュタグ #MuseumFromHome をつけて投稿することで、一機関や団体のみならず、一個人の取り組み・経験を共有する動きも広がっています。

詳細は上記リンク記事あるいはハッシュタグからご覧いただけますが、公開・共有されている内容は多岐にわたり、写真や動画、音声をはじめ、AR/VRを活用した先進的な表現まで、ありとあらゆるコンテンツが時間や空間に囚われることなく、享受できるようになっています。

外出自粛や禁止が続くなか、この流れ自体は必然的なものであって、今後も加速することが予想されます。自宅にいながら、画面越しに楽しめるデジタルコンテンツは(勿論、これまでにも多数実践されてきましたが、その多くは「おまけ」的な立ち位置であり)今後、かたちを変化させながらも、実空間と並び立って発展していくことでしょう。

まだオープンもしていない、小さな大学ミュージアムながら、私たちKeMCoとしても、この新たな潮流を無視することはできません。

KeMCoは(私自身は昨夏頃から部分的に関わり、本年4月から本格参加となりますが)発足当初から「デジタル技術の活用」を重点に掲げ、来年4月のオープンに向けて、デジタルアーカイブの制作やデジタル表現を取り入れた展覧会の準備を進めてきました。しかし、今回の未曾有の事態にあって、デジタル活用の意味・意義について、いまいちど議論を深めています。
(まだまだ模索している状態ですが、KeMCoで計画中のデジタル展開については、また別の機会に書きたいと思います)


これからの 「デジタル」 ミュージアムを考える

ここから先は、ゴールデンウィーク中に見聞きした論説を一部紹介していきます。いずれも洞察に満ちているので、是非原文(リンク先)も併せてお読みください。


果たしてデジタル・ミュージアムの時代は到来したのか?

まずは、メトロポリタン美術館の館長も務めた Thomas Campbell(Director and CEO of the Fine Arts Museums of San Francisco)と Adam Koszary(Social media editor at the Royal Academy of Arts, London)による寄稿を紹介します。

Has the digital museum finally come of age?(Apollo Magazine)

両者ともデジタル展開に前向きながら、デジタル空間での「見せ方(どのような体験を提供できるのか)」については、再考を促しています。

Thomasは文中で:

I suspect that within a few years, the augmented and virtual-reality technologies being developed in the gaming industry will result in more convincing simulacrums of being in the world’s great museums. And we’ll be able to choose from a range of customised curatorial avatars to guide us (the mind boggles).

【訳文(DeepLで翻訳)】
数年以内に、ゲーム業界で開発されている拡張技術やバーチャルリアリティ技術によって、世界の偉大な博物館にいるような、より説得力のある擬似体験ができるようになるのではないでしょうか。そして、私たちを案内してくれる学芸員のアバターを、カスタマイズしたものから選べるようになるのではないでしょうか(驚愕)。

と述べており、私もその通りになると思いますが(分野は違いますが、つい先日、ラッパーのTravis Scottがオンラインゲーム「Fortnite」内でライブを開催: https://www.youtube.com/watch?v=wYeFAlVC8qU 大盛況で終えたことも話題になりました)詰まるところ、Adamのいう「human connection」が最も大切になるように思います。

そのhuman connectionに関しては(文中、Adamが一例として出した)米オクラホマ州「National Cowboy & Western Heritage Museum」のチーフ警備員にまつわるエピソードが実に秀逸なので、是非以下の画像リンク先(インスタグラム)もご覧ください。


ミュージアムは、オンラインでどのような「価値」をもたらすのか?

続いて、スウェーデンのVästernorrlands museumでHead of Collections and Cultural Environmentsを務めるKajsa Hartigによる投稿を紹介します。

Museums delivering value online — some thoughts during the Covid-19 crisis(by @kajsahartig)

Kajsaは、ミュージアムをはじめとする文化セクターのデジタル/オンライン活用について、世界各国の実践者・研究者にインタビュー(シリーズ)を敢行しており、その結果を、自身が運営する非営利団体のウェブサイトに掲載しています。
(メニューはSwedishですが、該当文は英語で読むことができます )

奇しくも、現状にタイムリーな内容となっていますが、インタビュイーは誰もが一線で活躍している人で、その回答どれもが勉強になります。

特に、Douglas Hegley(Chief Digital Officer at Minneapolis Institute of Art in the USA)による「factors that affect delivering value online」は、ともすれば(検討が)おざなりになりがちな項目もリストアップしてくれていて、大変参考になります。

・Usability (good interface design)
・Continuous innovation (being proactive in the digital space)
・Audience needs (basing decisions on what works for the audience, using feedback to drive change)
・Accessibility (creating experiences that are open and available to audiences with a broad array of accessibility challenges)
・Being aware that online is being global (attending to various needs of individuals from a broad variety of spoken languages and cultural/socio-economic backgrounds)

【訳文(DeepLで翻訳)】 
・使い勝手の良さ(インタフェース設計の良さ)
・継続的なイノベーション(デジタル空間での積極性)
・視聴者ニーズ(視聴者にとって何が有効かを判断し、フィードバックを活用して変化を促す)
・アクセシビリティ(多様なアクセシビリティの課題を持つ観客に開かれた体験を提供すること) 
・オンラインがグローバルであることを意識していること(多様な話し言葉や文化・社会経済的背景を持つ人々の多様なニーズに対応していること)


パブリック・ライブラリーの新しい未来

最後は、イギリスのCILIP, UK Library and Information AssociationでCEOを務めるNicholas Pooleの投稿を紹介します。

この記事は、ポストコロナ時代のパブリック・ライブラリーに関する論考となりますが、ミュージアムの観点からも、様々な気づきを得ることができます。

広く公衆に開かれた「場」として、ライブラリー(ミュージアム)は今後どうあるべきなのでしょうか?私たちは、ここで一度立ち止まり、考えていく必要があります。

以下、本文の一部抜粋です:

We must inspire and enthuse an entirely new audience with services that are seamlessly physical and digital, which empower them to learn, be well and be active participants in the cultural and democratic life of their community. We must create places and spaces that are accessible, attractive and that reinforce our user’s sense of empowerment. And most of all, we must be clear and resolute in founding our services in the values of kindness, humanity, personal care and a respect for each and every user.

【訳文(DeepLで翻訳)】 
私たちは、物理的なものとデジタルがシームレスに融合したサービスを提供して、まったく新しい利用者を刺激し、興奮させなければなりません。私たちは、アクセスしやすく、魅力的で、ユーザーのエンパワーメントの感覚を強化するような場所やスペースを創造しなければなりません。そして何よりも、優しさ、人間性、個人的なケア、そして利用者一人一人への敬意という価値観の中で、明確かつ毅然とした態度でサービスを立ち上げなければなりません。

むすびにかえて

つらつらと書いていたら、諸般の事情により、ここで時間切れとなってしまいました...。冒頭で述べた通り、とりとめのない文章で、かつ、まとめることもできずに終えますが、またの機会に、続編(?)を投稿できればと思います。

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慶應義塾ミュージアム・コモンズ(KeMCo:ケムコ)は、2021年3月にオープンする、慶應義塾の新しい大学ミュージアムです。このnoteでは、KeMCoの所員がオープンまでの道のりをお伝えしながら、ミュージアムやアートに関わる話題を幅広く展開していきます。

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