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roomxみどころ⑥ 文学部 古文書室からは、石城日記(武士の絵日記)第4巻をご紹介

タイトルの通り、今回は石城日記(武士の絵日記)をご紹介します。文久元年(1861)に記された日記になるそうですが、当時の武士を思い浮かべると、たとえば 「侍」「質実剛健」「武芸(に長けている)」...といったイメージが現れるものと思います。ところが、この絵日記を読むと、そうした "イメージ" は見事にくつがえされます。まさに衝(笑?)撃の一冊、古文書室の重田麻紀先生による解説とともに、ぜひお楽しみください。


「石城日記」とは

武蔵国忍藩(現在の埼玉県行田市)の尾崎石城が、文久元年(1861)から翌年4月にかけて記した絵入りの日記。絵を得意とする石城によって、食事・酒宴の光景、読書の様子、祭りの賑わいなどが豊かな色彩でユーモラスに描かれており、当時の武士の日常生活をうかがい知ることができます。日記の著者である尾崎石城(準之助)は十人扶持(扶持とは月ごとに支給される手当)のいわゆる「下級武士」でした。この収入だけでは生活は立ちゆかず、石城は得意の絵の才能を活かし、屏風・掛け軸・行灯などの絵の注文を受けて作品を制作する「副業」をおこなって生活の足しにしていました。このようにして得た収入で、毎日のように多くの友人と飲食をし、料亭へ繰り出していました。日記が記された文久年間はまさに幕末動乱の時代です。日記にはところどころ、世情の記載もあり、石城がただ日々を楽しんでいただけではなく、「武士」としての矜持を持って生活していたことも感じられます。(重田麻紀)


みどころ

この絵日記を書いた尾崎石城は、同じ忍藩の下級武士仲間、また近隣の寺の和尚などとの幅広い交流があり、どの巻にも料亭や寺などでの楽しげな宴席の様子が多く描かれています。もちろん単なる「飲み仲間」というだけではなく、日常生活から付き合いがあり、様々に穏やかな光景がみられます。

なお、本展覧会の文学部 古文書室セクション「石城日記」では、石城日記を全巻(第1巻〜第7巻まで)お楽しみいただけます。他の巻もご覧になりたい方は、以下より、ぜひご来場ください。