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構築される遺跡ってなに vol.4

はじめに

慶應義塾ミュージアム・コモンズ(KeMCo)にて開催した「構築される『遺跡』:KeMCo建設で発掘したもの・しなかったもの」展を、企画に携わった、民族学考古学研究室に所属するKeMiCo:Noekaからご紹介したいと思います💁🏻‍♀️

第4回目のテーマは「Room2を見てみよう」です✨
今回は発掘しなかったものを見ていきます🏃🏻‍♀️

Room2ってなに

Room1では発掘されたものが時代順に展示されていたのに対して、Room2では発掘しなかったものが展示されています。
発掘されなかったものが展示されるってどういうこと🤔と思われる方も多いかと思います。

ここでは、考古学の発掘調査では調査対象とせず(できず)、出土しても土砂などと一緒に捨ててしまうものを「発掘しなかったもの」とし、それらのうち、様々な要因でたまたま残っているものをRoom2で展示しました😳

つまり普通は捨てられてしまうもの、そして博物館などでは展示できないものが展示されました👀✨

ではそれらがどんなものなのか、見ていきましょう🏃🏻‍♀️

KeMCoで 発掘したもの・しなかったもの ってなに

セクション6では当館、慶應義塾ミュージアム・コモンズ(KeMCo)の建設に際して行われた発掘調査で「発掘しなかったもの」が展示されました💡

KeMCo建設予定地出土の近現代の遺物


近現代のビール瓶や陶磁器片など、これらは全て普通なら残ることのないものたちです🧐

港区埋蔵文化財取扱要綱によると、原始・古代から近世までに属する遺跡が発掘調査の対象となります。つまりそれ以降の時代のものは、港区埋蔵文化財取扱要綱では必ずしも調査対象とせずともよいということになっているんです🤔

したがってこれら近現代の資料は発掘調査報告書にも載らず、なかったことになるということです…😯

日吉キャンパスで 発掘したもの・しなかったもの ってなに

セクション7では場所を変えて日吉キャンパスの発掘調査で拾われたものたちが展示されました👀

日吉キャンパス出土の近現代の遺物

担当者によると、日吉キャンパス一帯はゾウやシカの化石からアジア太平洋戦争期の遺物まで多くの資料が出土する場所だそう。
しかし人の活動の痕跡のみが対象となる「遺跡」においては化石は対象となっておらず、また現在は調査対象となっていますが、近代以降の戦争の痕跡も最近まで対象となっていなかったそう。

日吉キャンパス出土の戦中・戦後の学食器

このような学食器も当時の大学の様子を映す貴重な資料のようにも見えますが、調査対象とはなっていません。

三田山上は「遺跡」なのか ってなに

セクション8では三田山上=三田キャンパスは遺跡なのか、を考えるセクションです✨


皆さん、三田キャンパスに福沢諭吉邸の基礎の一部が残っていることをご存知でしょうか😳三田キャンパスに通われている方の中にも知らなかったという方は多いのではないでしょうか🤔
それもそのはず、完全に放置されているからです😆たまに雑草などを除去してくださったり塀に囲まれて守られている(?)のですが、遺跡としては認められていません❕

他にも1871年(明治4年)に慶應義塾が移転してきてからの数々の痕跡が見つかってきていますが、港区埋蔵文化財取扱要綱の範疇ではなく、調査対象となることはありませんでした💭

三田キャンパスで 過去の痕跡を探す

そんな三田キャンパスで、特別な許可を得て落ちている様々なものを拾い、展示したのがこのセクション9です🤝
江戸時代の陶磁器片に始まり、レンガやガラス片、コピーカードや一見ゴミのように見える用途不明なものなど…我々民族学考古学研究室の学生が中心となって三田キャンパスから拾ってきたものになります💨

たなまち展示風景

どれを拾い、残していきたいと考えるかはその人次第であり、そこから語られる歴史も様々です☺️
皆さんの足元にはどんなものが落ちているでしょうか🐾
それがたとえ現在の埋蔵文化財や発掘調査の対象となっていなくても、皆さんが語りたい歴史があれば、それは大切な資料です✨

展示は本日で終了ですが今後も歴史は誰が、どんな基準で構築していっているのか、それが誰にとって正しいのか、またそうでないのかを一緒に考えていってくだされば幸いです☺️

おわりに

展示紹介は一度ここでおしまい💨

「構築される『遺跡』:KeMCo建設で発掘したもの・しなかったもの」展は本日閉幕いたしますが、関連イベントのアーカイヴは公開中ですので是非ご覧ください✨

文責:KeMiCo Noeka


考古学と現代美術をめぐるミニトーク

日時:2023年4月14日(金)19:00-20:30
場所:慶應義塾大学 三田キャンパス G-Lab(東別館)
対談: 安藤広道(慶應義塾大学文学部民族学考古学専攻 教授) 山田健二(美術家)
モデレーター: 本間友(慶應義塾大学ミュージアム・コモンズ 専任講師)


「構築される『遺跡』」展ギャラリー・トーク

日時:2023年4月10日(月)13:00-14:00
場所:慶應義塾ミュージアム・コモンズ(三田キャンパス東別館)
ガイド:安藤広道(慶應義塾大学文学部民族学考古学専攻 教授)


Keio Museum Commons The Excavation Site / 慶應義塾ミュージアム・コモンズ(KeMCo)予定地 発掘ドキュメンタリー映像

制作:慶應義塾ミュージアム・コモンズ
協力:共和開発株式会社、安藤 広道(慶應義塾大学 文学部 教授)、新部 貴弘、長谷川 紫穂
監督:桑山 篤
発行:2019年10月1日


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