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慶應の"ドラゴン"集まる。KeMCo新春展「龍の翔る空き地」を散策してみた①🐉〜龍探し編〜

今年は「辰」年ですね!🐲
KeMCo(慶應義塾ミュージアム・コモンズ)では毎年1月、干支に焦点をあてた展覧会を行なっています。今年は辰(龍・ドラゴン)にスポットを当てた、KeMCo新春展「龍の翔る空き地」展 を2024年2月9日(金)まで開催中です。

はじめに about「龍の翔る空き地」

🎈2/9まで、絶賛開催中❕

本展覧会では、KeMCoのコレクションをはじめ、慶應義塾大学のキャンパスで文化財をめぐる活動を行う部門(文学部各専攻や大学図書館、研究センターなど)から、古今東西の「龍」作品を集めました。
今回はそんな慶應の”ドラゴン”が集う展示会場をご紹介します!


🐲会場への行き方🐉

東別館・KeMCoの建物に着いたら、エレベーターで3階へ!

こちらが会場!展示は左手のRoom1で開催しています💁🏻‍♀️

右手のRoom2ではKeMCoM企画開催中🎨

展覧会は、①慶應義塾が所蔵する「龍」にまつわるコレクションをご覧いただくパートと、②特別企画「唐様前夜:林羅山とそのコミュニティ センチュリー赤尾コレクションより」の展示パートに分かれています。

※会場では特集展示からご覧いただく形になりますが、本note記事では最初に龍たちをご紹介していきたいと思います💫

龍パート⏫
5つのセクションで様々な龍の姿をご紹介しています

会場では、作品の中を龍・ドラゴンたちが個性溢れる姿で変幻自在に「翔けて」います。本noteでは、KeMiCo Honoka独断の龍探し難易度🐲に応じてヒントをご案内します💡それでは、龍を探していきましょう😉✨

Section1 飾りに棲む龍

展示風景

最初は、「飾りに棲む龍」です。西洋中世写本や、表装の中に、彩り、飾る存在としての龍が登場しています🐉かわいらしさも見つけやすさも抜群です!

🐲難易度🌟🌟🌟🌟《新撰朗詠集色紙「足引の」「万事皆非燈下涙」》
最大のヒントは「飾り」というところ!

画面左手が《新撰朗詠集色紙》。パッと見では見つからない……??

この作品は、文字の背景部分、色紙の枠飾りをご覧ください💡会場で近くで見ると、案外すぐに見つかりますよ!

Section2 うつしに棲む龍

展示風景

続いて、「うつしに棲む龍」。
まずは「映し」の中の龍をチェックしてみましょう💁🏻‍♀️

こうした紋様を作り出す鋳型の展示もあるのはちょっと珍しいのでは👀(ケース内一番左)

🐲難易度🌟🌟🌟《龍虎座獣帯鏡》
鏡の背面の紋様の中に、龍の姿が……!

後漢−三国時代(2ー3世紀)《龍虎座獣帯鏡》

もし会場でちょっと見えづらいと感じたら、慶應義塾のコレクションを公開しているデータベース「Keio Object Hub」で見ていただくとカンタンに拡大してみることができます🙆‍♀️展示中の作品のほとんどが公開されているので、ぜひ展覧会鑑賞の手助けに、活用してみてくださいね!

そしてこの区画にはもう一つ、「写し」があります。
🐲難易度🌟🌟《(井伊直政書状)〔島津義久上洛等〕》
気付いてしまったら目が釘付けになること間違いなし。

馴染んでいて気付きにくいですが、明らかに「龍」がいます

書状で内容と同じくらい大事な情報、それは誰から来たお手紙か?(差出人)というところですね。その辺り、印章(平たく言えばはんこのこと!)に目を凝らしていただくと、はっきりと「龍」の字があることがわかります👍

Section3 場所に棲む龍

展示風景

このセクションでは、龍は実際どこにいるのか??という想像にアプローチします⛑🥽

🐲難易度🌟🌟🌟🌟《富士越之龍図》
なんとなく龍がいそうな雰囲気が漂っていますが、龍の姿も実ははっきり描きこまれているんです。見つかりますか??

雲間の黒い影が怪しいことは間違いなし……⚡️

単眼鏡で見ていただくか、心強い手助けとしてObject Hub で見ていただくと、くっきり見えてきます🐉

🐲難易度🌟🌟🌟🌟🌟《明治十三年庚辰八月 朝鮮使節渡来  異客相逢君莫驚 今吾自笑故吾情 西遊記得廿年夢 帯剣横行竜動城》
我らが慶應義塾創立者、福沢諭吉の遺墨コレクションからの一点です。今度は印章ではなさそう👀

それにしても堂々たる筆跡です

最初のヒントは、「地名」です。タイトルを読むと「竜動」の字が見えますが、これ、イギリス🇬🇧の首都ロンドンのことなのだそうです!
その上で墨蹟を見ると、最後の一行に、行書体の「龍」を発見🐲龍の動く城なんてなんだかロマンある漢字表記ですね💗

Section4 道具に棲む龍

展示風景

4番目、こちらのセクションにはより私たちの生活に身近な龍がいます🍳

🐲難易度🌟《小鉢 三田二丁目町屋跡遺跡出土》
一目瞭然の龍の姿ですが、個人的に会場内で一番幼げでかわいらしいのではないかとひそかに推しています😍

画面手前の二つの小鉢

KeMCo建設時に発掘されたものなので、「三田二丁目町屋跡遺跡出土」となっています。同じくKeMCoの土地から出てきた中国・景徳鎮の小椀の龍とも見比べてみてくださいね!

Section5 連想に棲む龍

展示風景

最後を飾るのは、「連想に棲む龍」たちです。
慶應義塾とつながりの深い、「舞踏(暗黒舞踏)」をご存じでしょうか??

詳しくはこちら☟(舞踏の創始者、土方巽のアーカイヴを持つ慶應義塾アート・センターのHPです!)

この章は、ここまで見てきた龍の具体的な姿かたちから発展させ、20世紀に土方巽を筆頭とする舞踏家たちが龍のイメージをどのように転換し、身体的な表現に転化させていくのか……というところを映像展示や彼らの残したノートからご紹介しています。

舞踏家は龍をどのようにイメージしていたのでしょうか?はたまた、龍から何を連想したのでしょうか??
そして、想像上の生き物・龍と私たちの長~~いお付き合いは20世紀、21世紀に向かってどのように展開していくのか????想像が広がります🌥

特別企画「唐様前夜:林羅山とセンチュリー赤尾コレクション」より

続いて、特別企画の展示コーナーもご紹介します!
ここでは、中国から日本に入ってきた龍、と同様に、中国に学んだ漢詩文と書の世界に注目し、その「唐様前夜」=17世紀前半における担い手となった林羅山とそのコミュニティの人々の書を展示しています。

展示風景🖌

ドラゴン探しと同じように、ご来場された際にぜひ探してほしいポイントをご紹介します👀✨

最初のオススメ注目ポイント、林羅山とその関係者たちのそれぞれの好みや個性がどこに表れているか??というところ🤔💗
書の雰囲気の違いを楽しむもよし、自分だったらこんな字が書きたい!という書を探してみるもよし。どんな人が書いたのか、想像してみるもよし。

そのヒントになりそうなのが、作品横に添えられたキャプションの、関係性マークです👨‍👩‍👧

キャプションに右上には作者と羅山の関係性が書いてあります

子供・師・弟子・友人……関係性から書風を見比べる事で、想像が膨らみますね!会場では、特別企画に合わせた解説冊子を配布していますので、想像と解説を照らし合わせてみるのも面白そうです🤔

解説冊子は片手に持って回るのにちょうど良し📘!

また、後世に伝わる中で持ち主が施したのでしょうか、表装に一工夫あり✨の作品もあります。黒川道祐《黒川道祐筆詩懐紙》の表具には、色とりどりの馬が描かれています😲🐴

表具に馬が!これはかわいい…

気分良く軽やかに遊ぶような馬たちには和まざるを得ません。ぜひ探してみてください😉

さいごに

展示を見たら、Room2ではKeMCoM企画が待っています!お持ち帰りできる龍が作れちゃうかも……👀お楽しみに❣️

また、ケムコンポスト関連ワークショップとのコラボコーナーもあります🥬
成果物ができるまでの様子はこちらをチェック✅

そして最後はお決まりのお見送り展示コーナーです👋

お見逃しなきよう!!

今回は、《渡唐天神像》が見守っています。ぜひご覧になりながらお帰りください😊

さあ、皆さんも会場で慶應の”ドラゴン”を探してみませんか??🐲
KeMCo一同、そして龍たちがご来場をお待ちしております💁🏻‍♀️😊


新春展2024「龍の翔(かけ)る空き地 唐様前夜:林羅山とそのコミュニティ」

日付|2024年1月10日(水)~ 2月9日(金)11:00–18:00 土日休館
特別開館 1月20日(土)、2月3日(土)
臨時休館 1月22日(月)、2月5日(月)
場所|慶應義塾ミュージアム・コモンズ(三田キャンパス東別館)    
入場|どなたでもご覧いただけます・無料
共催|慶應義塾ミュージアム・コモンズ、慶應義塾大学附属研究所 斯道文庫
協力|慶應義塾大学アート・センター、慶應義塾大学信濃町メディアセンター(北里記念医学図書館)、慶應義塾大学日吉メディアセンター、慶應義塾大学文学部古文書室、慶應義塾大学文学部美学美術史学専攻、慶應義塾福澤研究センター、慶應義塾大学三田メディアセンター、慶應義塾大学文学部民族学考古学専攻


文責:KeMiCo Ami, Honoka