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【総括】KeMCoの2024年🐲~今年もお世話になりました!~

早いもので年末の足音が近づいてきましたね。KeMCoでは先日「Land-scape-お持ち帰りできる風景」展が無事閉幕しました👏年明けから開催の新春展2025「へびの憩う空き地」の準備が佳境を迎えています。

思えば、2024年のKeMCoも激動の一年でした!🔥沢山の方、沢山の作品との出会いに心からの感謝を込めて、この一年を今一度振り返ります!


KeMCo新春展2024 「龍の翔る空き地 唐様前夜:林羅山とそのコミュニティ」

2024年1月10日(水)~ 2月9日(金)

毎年新春展ではその年の干支にまつわる展覧会を開催していますが、2024年は「辰」(龍)でした!そして、龍が中国からやってきたことに目を向け、「唐様前夜:林羅山とそのコミュニティ」として江戸時代初期に新たな漢学・漢詩の担い手となった林羅山とその周辺の人々の書を展示しました。

ちなみに、新春展ではKeMCoにある作品だけでなく、慶應義塾のあちらこちらから作品に出動していただきます。
KeMCoのオープン時に立ち上がった慶應義塾内のコレクションを横断的に検索できるデータベースKeio Object Hubを皮切りとして、つなぎ手としての使命を果たす展覧会でもあります。ということで、次のへび展🐍では何が展示されるのか??Keio Object Hubを使って予想してみていただくというのも一興かもしれません!

💭KeMiCoひとこと
いろんな姿の龍がわいわい集まってお祭り感のある新春展でした!ドイツ語版(!)のドラゴンボール("Dragon ball 1 Das Geheimnis der Drachenkugeln" )、ファミリーコンピュータードラゴンクエストといった、現役バリバリに大活躍中の龍たちも出陳されたことが印象的でした。
特に慶應内でも各所から作品が集まる新春展。所蔵者がどこなのか、誰なのか、なぜこれを持っているのか…と想像(妄想?)を巡らせるのも楽しいです。
(KeMiCo Honoka)

エフェメラ:印刷物と表現

2024年3月18日(月)~5月10日(金)

この展覧会では、エフェメラ(ephemera)=イベントのチラシやパンフレットなどのように限られた期間内に有効な情報を伝える手段としての印刷物(printed ephemera)に注目し、戦後美術における印刷物エフェメラの展示と、印刷物に関心を寄せる現代美術家・河口龍夫氏と冨井大裕氏の作品展示を行いました。

美術館やギャラリーでも頻繁につくられるエフェメラですが、その時限性や形態ゆえに図書館「資料」に含められるのか?、あるいは有する創作性ゆえに「作品」として扱うことも可能なのか?などといった境界領域だからこその議論を提起する存在です。定義のあわいに揺蕩うがゆえの魅力を持っていることも確かなエフェメラを一望する展示を行いました。
また、アーカイヴや美術図書室といった施設は一般への調査閲覧も開いています。コンタクトを取ればエフェメラルな資料を手に取って見ることもできる、そんな機会が開かれているという気軽さの道しるべとしてのご案内も盛り込んだ展覧会でした。

💭KeMiCoひとこと
何といっても、会期一か月前から動き出したKeMiCo動画制作企画は忘れがたい思い出です。「エフェメラは展示室では触れない。本当はパラパラめくるのが楽しい!ということを伝えたい!」をコンセプトに、展覧会の導入となるような動画を目指しました。
動画を撮影することも、編集するということも、すべてが初めてでしたが、素朴な映像ながら何とか形になり、1階ロビーに流れているのを見たときは安堵感でいっぱいでした。(KeMiCo Honoka)

💭KeMiCoひとこと
私がKeMiCoに参加して初めての展覧会はエフェメラ展でした。そのため個人的に思い入れの強い展覧会になっています!偶に英語論文を読んでいてephemeralなんて単語が出てきたときには、ふふふとこの展覧会ポスターが頭をよぎります。(KeMiCo Ota)

三原聡一郎 レシピ:空気の芸術

2024年6月3日(月)~8月3日(土)

今年のKeMCoの夏は「レシピ」とともにありました!🌻
身の回りの現象を露わにする「装置」によって芸術に読み替えてきた、メディアアーティスト・三原聡一郎氏のこれまでの作品制作を一望した展覧会。アーティスト自身が「空気の芸術」と名付けたように、日々の空気の変化を絶えず呼吸し、変化していく作品の姿を観察し、追いかけ続けました。

また、近年、自身の作品の「レシピ」を公開している三原氏は、「最新レシピに準ずる限り再制作を、レシピを並置する場合は展示を、当人の責任において実行する限り許可」すると言います。
トークイベントでは発酵メディア研究者のドミニク・チェン氏との対談により、三原氏が制作方法の公開手段に「レシピ」を選んだ背景としてのフリーカルチャーや、「レシピ」と権利の問題、そして「レシピ」の今後への期待について語られました。指示書とも違う、制作者によるアーカイヴとの向き合い方に、「レシピ」の性格が立ち現れつつあります。展覧会の記録集は来年3月に発行予定!ぜひご期待ください✨

💭KeMiCoひとこと
会期中は毎日「み展観察日記」をスタッフ全員で更新し、「中の人」として展示に密着しました。展示の準備やメンテナンスのために三原さんがほぼ毎週頻繁にKeMCoに来館され(!)、アーティストとミュージアムの仕事の最前線を垣間見ることができた貴重な経験でした。
私が記事の執筆を担当している「コンポスト日記」に登場するコンポストも展示の一部として公開。作業中に居合わせた来館者の方とお話しする機会もあり、非常に思い出深い展覧会です。(KeMiCo Hakuto)

💭KeMiCoひとこと
「作品を見る、そして自分が何を感じているかを正面から捉える。ひたすらに「今」に忠実な日記の難しさを痛感したのです。」
この展覧会の際、KeMCo Voice7月号の空き地に寄稿させて頂いた文章の一部です。Hakuto氏同様「み展観察日記」が私にインパクトを残した当展覧会。是非三原氏の作品を調べると同時に、KeMCo公式noteに掲載された観察日記を読んで頂いたら、きっとみ展の様子がありありと浮かぶと思います。 (KeMiCo Ota)

Land-scape-お持ち帰りできる風景

2024年10月7日(月)~12月6日(金)

芸術の秋は美しい風景、そして風景を描きだす人々の営みを遡る試みをお届けしました!
今日では、当たり前に写真(はたまた動画も)を撮り、瞬時に送り合えるようになりましたが、果たして美しい風景を愛でるのはいつからか。本展覧会では、西洋中世の写本装飾に見出せる風景描写を「風景前史」として、旅行によってある種発見された異国の風景や、それらを他者に伝えるための版画や写真、水彩、絵葉書といった複製技術の発展と地続きの「お持ち帰り」の手段にも着目しながら、これらを振り返りました。

展覧会カタログもKeMCo Office(東別館4F)で販売中!

💭KeMiCoひとこと
エフェメラ展で始まった動画制作チャレンジ。その後、#み展で宣伝用の短い動画を作ったり、アーカイブ動画を整理したりと研鑽を積み、#ランスケ展ではトークイベントの撮影~編集をするところまで成長しました!👏動画を見返すといろいろ反省点はあるのですが、それは追々頑張るので温かい目で見守ってください。褒められて伸びるタイプです。(KeMiCo Honoka)

💭KeMiCoひとこと
私も感じていたのです、、、展覧会ごとにSNSなどにアップされる動画のクオリティが着実に上がっていたことに!!! Honokaさんの背中を見て成長しております、、、
因みにランスケ展では多くの珍しい本が展示されていましたが、慶應の図書館にもそうした書物が所蔵されています。今年の春学期前半は18,19世紀に作成された航海記を対象に研究を行っていたのですが、中々ニッチな本がまさかの在架⁈それも貸出可?!?!なんてことがありました。図書館地下3階がオススメですよ👀 (KeMiCo Ota)

その他ニュース

展覧会のほかにも様々な出来事があった2024年。まとめてご紹介します。

KeMiCo、海外へ。ふしぎ発見!始動

今年のニュースと言えば何といっても、KeMiCo Otaのプカプカ島調査ではないでしょうか。ケムコ流行語大賞と言っても過言ではなかろうと思います。

写真はラロトンガ島

圧倒的な存在感を放つサムネイルに彩られたnote投稿、「ケムコ!ふしぎ発見!」も始動しました。旅の高揚感あふれるレポートは必読です⇓

💭KeMiCoひとこと

意外と多くの人に拝見して頂いたケムコふしぎ発見。国内のプカプカ島の認知度が高まったのではないかと実感しております。まさか5弾に渡る企画になるとは、、、また調査に行った際は更新しますね😊( プカプカ島のgoogle street viewが現在公開中です👐)
中々攻めたこの企画、色んな場所の色んな話が入ってますので是非ご高覧ください。 (KeMiCo Ota)

💭KeMiCoひとこと
KeMiCo Otaのプカプカ島レポのあまりの面白さに触発されて、私も京都での過ごし方や中国旅行レポを書いてみました。が、特に後者はキャッチーさを目指した結果ただひたすらに麺を紹介する食レポ記事に。麺好き、あるいは海外旅行好きの方に少しでもKeMCoを認知していただけていればと願うばかりです。(KeMiCo Honoka)

ホップの生命力に一同感動

6月より、慶應義塾大学法学部・地域社会論研究室の高輪ゲートウェイサブゼミの皆さん持ち込み企画(TAKANAWA HOP WAYというコミュニティ活動の慶應分担分)でケムコンポストを利用したホップ栽培が始動しました。

ちゃんと育ってくれるかしら…台風に耐えてくれるかしら…などなどのKeMCoスタッフの心配をよそに、すくすくと成長!!!🔥

そして先日、無事ビールになりました🍺

💭KeMiCoひとこと
順調に育ち最終的にビールになって大成功に終わったホップ栽培ですが、植え付け当日に届いた苗は、写真にある通り指先と同じくらいのミニサイズだったんです。さらに作業完了直後、突如として警報級のゲリラ豪雨が…。「だ、大丈夫!?枯れない…?」と早々に肝を冷やしたのも良い思い出です。
(KeMiCo Hakuto)

骨付き肉の会/葉っぱのお届けもの

今回っているケムコンポストには、慶應バケツと中等部バケツがありますが、中等部バケツには、中等部生がときどきやってきて投入物を提供してくれます。
テラスで骨付きチキンをみんなでかっ食らって大量の骨を投入したのもなかなかの衝撃シーン(?!)でした。

そして中等部の夏休みが明けた9月。KeMCoに新鮮な大量の葉っぱが届きました。何事???と一時ザワザワしたケムコオフィスでしたが、実はこれ、中等部生がケムコンポストの肥料を使って育てた二十日大根。
細かく刻んで無事コンポストに投入されました👍

難局もありつつ、コンポストの懐の深さと、コンポストチームの献身的なケアによって熟成されていくケムコンポスト!コンポスト肥料の活用が始まり、展覧会でもお披露目されて、循環が広がっていった2024年でした!

💭KeMiCoひとこと
1月にコンポスト日記の執筆を引き継ぎ早1年。あんなモノからこんなモノまでたくさん投入してきましたが、突如として中等部からご提供頂いたフライドチキンと大根の葉は中でもインパクト大な投入物でした。実はフライドチキンはその後分解が難航し手を焼いたのですが、最終的に細い骨になるまで分解が進み、コンポストの力を実感しました👀 (KeMiCo Hakuto)

KeMCoM三田祭カフェ

今年はこども霞が関見学デーや美術展ナビフェスなどにもブース出展したKeMCoMは、去年に引き続き、三田祭にも出動!
ドリンクとクッキーの販売のほか、KeMCoでの制作物が出て来るガチャガチャや3Dプリンター、VR体験もできてしまうKeMCoの最先端を詰め込んだカフェを展開しました。

💭KeMiCoひとこと
同じ学生メンバーのKeMCoMとKeMiCoですが、実は普段はあまり協働の機会がなく、今回は設営作業をお手伝いさせていただいて初めての共同作業(?!)と相成りました。初めてVR体験もさせていただき、ちょっと異空間に迷い込むようなフワフワした感覚の中で、かなりリアルに空間が再現されていることに驚きました。
照明の色温度にもこだわったカフェ空間で、三田祭期間にKeMCoで開催していた「Land-scape-お持ち帰りできる風景」展の作品をプリントしたクッキーを頬張ると、大学院校舎から中庭~メディアセンターを見下ろすいつもの風景がちょっとリッチな秋の風景に見えてきて感慨深かったです。(KeMiCo Honoka)

おわりに:KeMCo Staircase Lab. 「モノは世界への窓」開催中!

KeMCoの2024年は年末までまだまだ盛り上がっていきます!現在、東別館入口から3階へとつなぐ階段横の壁面=Staircaseを使って慶應義塾大学人文社会学科教育学専攻で、眞壁宏幹ゼミが展覧会「モノは世界への窓」を開催中です✨


眞壁ゼミでは、2013年より「ヴァーチャル・ミュージアムVirtuelles Museum(VM:通称ドイツ語でファオ・エム)」という教育プロジェクトを行ってまいりました。本プロジェクトは、眞壁ゼミに所属する学生1人ひとりが「現在の自分を形成したモノ」を年度毎に決めたテーマに沿って選び、そのモノにまつわる経験を図像や言葉のキャプションをつけ作品化し、オンライン上で展示するというものです。本展では、そんなVMをKeMCoの協力のもと、リアル展示として3次元上に具現化することとなりました。オンラインという平面を飛び出したモノたちをリアルに体感し、各ゼミ生が綴るモノにまつわる経験をリアルにご覧いただくことで、モノを見つめ直し、日常をいつもとは異なる角度から味わうおもしろさを体感していただけましたら幸いです。

https://kemco.keio.ac.jp/all-post/20241216/
(参照:2024/12/17)

開催期間:2024年12月16日(月)〜12月26日(木)11:00-17:00
土曜開館 12月21日(土)
休館日 12月22日(日)、25日(水)11:00-14:30

ワークショップも開催予定!☞事前参加応募フォームはこちら
①2024年12月18日(水)14:45〜16:15
②2024年12月21日(土)14:30〜16:00


年末最後のプロジェクト、ぜひ足をお運びください!

文責:KeMiCo Honoka